- 「耐震等級3“相当”の家です!」
- 「長期優良住宅の認定が取れるので安心ですよ!」
- 「住宅性能評価書もお付けします!」
住宅会社をまわっていると、必ずこういう言葉に出会います。どれも心強く聞こえますよね。でも最初に結論を言ってしまいます。
これらの営業マンの言葉や認定、評価書だけでは、本当の耐震性は分かりません。
確認すべきポイントは、たった2つです。
- その耐震性能は、第三者に検証されたものか?(住宅会社の“自称”ではないか?)
- その耐震等級3は、どの計算方法で出したものか?(許容応力度計算か?)
この記事では、この2つがなぜ重要なのかという理由を解説する理論編から、実際に住宅会社に何を・いつ・どう聞けばいいかという実践編まで、実際にサツメが家を建てた経験をもとに解説します。読み終わったら、そのまま住宅会社との打ち合わせで使える内容ですよ。
なお、地震対策には「耐震・制震・免震」の3方式がありますが、戸建てで最優先すべきは「耐震」です。その理由はこちらの記事で解説しているので、検索でこの記事にたどり着いた方や、まだ読まれていない方はぜひあわせてどうぞ。
今回は耐震等級について詳しく解説していきます。ちょっと制度の話が多めですが、最後まで読めば「正しい耐震等級とは何か」「住宅会社へどう確認すればいいか」がわかります。ぜひ最後まで読んで、地震に強い家づくりの参考にしてください。
前提のおさらい|耐震等級と、主な関連用語をざっくり解説
まず前提となる用語を3つ、手短に解説します。すでにご存じの方は読み飛ばしてOKです。
耐震等級:地震への強さを示し、1〜3の3段階ある
耐震等級は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)にもとづく国の制度で定められた、建物の地震への強さの指標です。等級1〜3の3段階で、数字が大きいほど地震に強い家です。
- 耐震等級1:建築基準法レベル(法律上の最低ライン)
- 耐震等級2:等級1の1.25倍の強さ(災害時に避難所になる、学校や病院相当のレベル)
- 耐震等級3:等級1の1.5倍の強さ(災害時対応の拠点となる、消防署や警察署相当のレベル)=現行制度の最高等級
詳しい図解は冒頭で紹介した前回の記事(耐震・制震・免震の違い)でやっているので、良ければご覧ください。
品確法:耐震等級について定めた法律
耐震等級が何によって定められているのかというと、その根っこにあるのは、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)という法律です。
家づくりに関わる法律といえば建築基準法が有名ですが、この2つは役割がまったく違います。
- 建築基準法:これを満たさないと家を建てられない、最低ラインを定めた義務
- 品確法:住宅の性能を共通のモノサシで表示するために、国が用意した任意の制度
耐震等級1〜3という表現も、このあと出てくる住宅性能評価書も、この後出てくる評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)も、すべて品確法から生まれています。
大事なのは、品確法は「任意」だということ。耐震等級3を取るのも、性能評価を受けるのも、家を建てるための法律上の義務ではありません。だからこそ、やる住宅会社とやらない住宅会社に分かれます。この記事でずっと「確認しましょう」と言っているのは、まさにその差を見抜くためです。

建築基準法が「守らないと違法になる内容」、品確法が「自主的に家をよりよくするために対応する内容」。ざっくりこの理解で十分ですよ。
住宅性能評価書:第三者機関がつける住宅の”成績表”
その品確法が用意した仕組みが住宅性能表示制度です。住宅の性能(耐震性・断熱性など)を国が定めた共通のモノサシで評価・表示することを目的としています。住宅の品質確保を促進するために、新築住宅向けには2000年10月、既存住宅向けには2002年12月に開始されました。
評価するのは住宅会社自身ではなく、国に登録された第三者機関(登録住宅性能評価機関)です。その評価結果をまとめた”成績表”が住宅性能評価書です。

実物はこういう書類です。サツメんちの設計住宅性能評価書はこんなカンジ。


長期優良住宅:行政が認定する「長く良い状態で住める家」
冒頭に出てきた長期優良住宅。名前はよく聞くけど中身はよく知らない、という方が多いのではないでしょうか。
これは「長く良い状態で住み続けられる家」の基準(耐震性・劣化対策・省エネ性・維持管理のしやすさなど複数分野)を満たした住宅を、所管行政庁(自治体)が認定する制度です。認定を受けると住宅ローン控除の拡充や税の軽減などのメリットがあります。

サツメんちも認定を受けています。これも実物をどうぞ。


用語の確認はここまで。ここからは、本題の同じ「耐震等級3」を名乗っていても、中身が同じとは限らないことについて解説していきます。
同じ「耐震等級3」でも、計算方法が2つある
結論から言うと、木造住宅が耐震等級3に適合していることを確かめる計算方法は、制度上2つあります。
- 性能表示計算:壁量計算をベースにした簡易的な計算方法
- 許容応力度計算:すべての構造部材を検証する精密な構造計算
住宅性能表示制度の技術的なルールブックである評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)に、耐震等級の適合を確かめる計算方法として、構造計算による精密な計算方法と壁量等の基準による簡易的な計算方法の2つを定めているんです。

2つの計算方法の違いは、ざっくり言えば「どこまで細かく検証するか」の粒度の違いです。
| 性能表示計算 | 許容応力度計算 | |
|---|---|---|
| 方法 | 壁量計算ベースの簡易法 | 全部材の構造計算 |
| チェック対象 | 壁量、壁の配置バランス、床倍率、接合部など | 柱・梁・基礎・接合部の一本一本 |
| 検証内容 | 基準への適合を項目ごとに確認 | 部材ごとに長期・短期の応力を個別に検証 |

ここでひとつ、誤解のないように言っておきます。性能表示計算は違法でも欠陥でもありません。制度が正式に認めている方法ですし、性能表示計算で耐震等級3を取った家は、耐震等級1の家よりずっと強い家です。
ただ、家一棟の部材すべてに個別の検証をかける許容応力度計算と、簡易法である性能表示計算とでは、検証の細かさが違います。同じ「耐震等級3」というラベルの下に、この2つが同居している——この事実を知っているかどうかが、住宅会社選びで効いてきます。

住宅会社に「耐震等級3です!」と言われたら、「どちらの計算方法ですか?」と聞ける人になりましょう。
この一言が言えるだけで、住宅会社選びの目利き力がグッと上がりますよ。
なぜ耐震等級3が必要なのか?|地震は一度では終わらないから
住宅会社の営業マンから、
「耐震等級1で建築基準法は満たしているので、これで十分です!」
というセールストークを受けたことがある方もいるでしょう。今記事を読んでいる方の中にも、
「耐震等級1でも建築基準法は満たしてるんでしょ? なんでわざわざ1.5倍の耐震等級3が必要なの?」
そう思われる方もいるかもしれません。
答えは、地震は一度では終わらないからです。
気象庁は、大地震のあとの地震活動について「地震活動のパターンは活動が終わるまで判別できない」としたうえで、最初の大地震と同等かそれ以上の規模の地震が発生する可能性もあると明記しています。「本震のあとは小さい余震だけ」とは限らない、というのが国の公式見解なんです。
そして、この一般論を最も過酷な形で証明してしまったのが2016年の熊本地震でした。熊本県益城町では、4月14日の前震(M6.5)と4月16日の本震(M7.3)で、震度7の揺れが2回観測されました。

震度7が同じ場所で2回というのは観測史上初めてのことだったそうです。
このとき、耐震等級の「格差」がはっきりと数字に表れています。国土交通省の委員会報告(日本建築学会による益城町中心部の悉皆調査・木造1,955棟)によると、建築時期別の倒壊率は以下のとおりです。
| 建築時期 | 倒壊率 |
|---|---|
| 旧耐震基準(〜1981年5月) | 28.2%(214棟/759棟) |
| 新耐震基準(1981年6月〜2000年5月) | 8.7%(76棟/877棟) |
| 現行規定(2000年6月〜) | 2.2%(7棟/319棟) |
基準が新しいほど倒壊率が下がっているのが分かります。そして注目すべきは、住宅性能表示制度ができた2000年10月以降の比較です。
なお表の「建築基準法レベル」とは、耐震等級1と同じ強さの水準のことです(出典の区分は「性能表示制度を取得していない住宅+等級1の住宅」の合計301棟)。
| 建築基準法レベル=等級1の水準(301棟) | 耐震等級3(16棟) | |
|---|---|---|
| 倒壊 | 2.3%(7棟) | 0棟 |
| 大破 | 4%(12棟) | 0棟 |
| 軽微・小破・中破 | 33.6%(101棟) | 12.5%(2棟・軽微/小破のみ) |
| 無被害 | 60.1%(181棟) | 87.5%(14棟) |
震度7を2回受けて、耐震等級3の住宅は倒壊・大破ゼロ。87.5%が無被害でした。委員会の報告書も、耐震等級3の住宅は大きな損傷が見られず大部分が無被害だった、と結論づけています。

ただし、この報告書で注意すべき点が2つあります。
まず、耐震等級3のサンプルは16棟とごく少数なことです。統計的に何かを断定できるサンプル数ではなく、あくまで実際に起きたことの記録としてとらえる方がよいと思います。
もうひとつ大事なのは、この16棟は「住宅性能表示制度による耐震等級3」、つまり第三者の検証を受けた耐震等級3だということです。住宅会社の自称「耐震等級3“相当”」ではなく、第三者のお墨付きを受けた耐震等級3の実績、ということですね。
誤解のないように補足すると、このデータが証明しているのは「第三者検証された耐震等級3の16棟の結果」であって、このうち何棟が性能表示計算で、何棟が許容応力度計算か、はわかりません。
「第三者検証された耐震等級3であれば、震度7クラスの揺れに複数回襲われても、建物被害ゼロ、あるいは軽微」ということはいえるが、「耐震等級3における性能表示計算と許容応力度計算の優劣」はこのデータからはわかりません。
一方で、同じ耐震等級3の中でも「軽微/小破」が2棟あることも事実です。(この2棟が性能表示計算の耐震等級3だったのかは不明です)
これらの事実を踏まえたうえで、「許容応力度計算による耐震等級3」は、ここからさらに確実な耐震性能を担保するために必要な確認事項、となります。

一度目の大地震に耐えても、ダメージを受けた状態で二度目三度目が来る可能性がある。だから、
「一度耐えればいい」ギリギリの設計(耐震等級1)ではなく、余力のある耐震等級3が必要——それも、より確実性の高い許容応力度計算による耐震等級3がマスト!
サツメはそう考えています。
「耐震等級3“相当”」と「認定書」、それぞれの限界
さて、ここがこの記事の核心です。ここまで読まれた方は、次のような疑問を持たれるでしょう。
- 「耐震等級3が大事なのは分かった。じゃあ『耐震等級3“相当”』と言われたら?」
- 「『長期優良住宅の認定付き』なら安心?」
結論、それだけではNGです。本当の耐震性の確認は、2つの関門を順番に通過できるかチェックするイメージだとサツメは考えています。
- 第1関門:その耐震等級3は、第三者に検証されたものか?
- 第2関門:その耐震等級3は、許容応力度計算で出したものか?
そして重要なのは、営業トークに出てくる言葉や書類の多くは、第2関門までは通過できないという事実です。一覧表で整理してみます。
| 表現・書類 | 耐震等級3の証明になる? | 【第1関門】 第三者の検証がある? | 【第2関門】 許容応力度計算か分かる? |
|---|---|---|---|
| 「耐震等級3“相当”」 (口頭・広告のみ) | ✕ | ✕ (自称) | ✕ |
| 長期優良住宅認定通知書 | ✕ (現行基準は等級2でも認定) | ○ | ✕ |
| 住宅性能評価書 | ○ (等級が明記される) | ○ | ✕ (計算方法の記載なし) |
| 構造計算書+安全証明書 | ○ (等級3の根拠計算そのもの) | — (建築士が交付する法定書類) | ○ (計算の種類・方法が明記) |
見てのとおり、第2関門(許容応力度計算かどうか)まで通過できるのは、最後の「構造計算書+安全証明書」だけです。以下、この表を上から順に解説していきます。

「耐震等級3“相当”」:第1関門で脱落
「耐震等級3“相当”」という言葉は、最初の関門で脱落します。
「相当」とは、第三者機関の評価を受けていない=自称ということです。実際に等級3の強度があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。検証されていないので、誰にも分かりません。

「弊社は全棟耐震等級3“相当”ですよ!」という言い方をする住宅会社は結構多いです。でもそれは裏を返せば、「第三者の評価・認定は受けてないんですけどね!」ということなんです。
つまり、「それってあなたの感想ですよね?」状態。
……信じますか? そんな住宅会社。
第1関門を通過した証明になるのが、住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関が発行)や長期優良住宅認定通知書(所管行政庁が発行)といった書類です。これらがあれば、少なくとも第三者のチェックを受けた性能だと言えます。
長期優良住宅認定:第1関門は通れるが耐震等級3の証明にはならない
つぎは意外に思われるかもしれない事実です。長期優良住宅の認定は、耐震等級3の証明にはなりません。
長期優良住宅の認定基準の耐震性は「耐震等級2以上」が基本です。2022年10月から、2階以下の木造で壁量基準により適合判定する場合は暫定的に耐震等級3が求められた時期がありましたが、2025年4月の壁量基準見直しに伴ってこの暫定措置は改められ、見直し後の耐震等級2でよいことになりました。
つまり現行制度では、(見直し後の基準による)耐震等級2の建物でも長期優良住宅に認定されます。

時期によって「長期優良認定=耐震等級3」だったり「=耐震等級2」だったりしてきた、というのが正確なところです。
サツメんちは2024年に設計され長期優良住宅の認定申請を行っているので、この時点の長期優良住宅の認定は耐震等級3が条件でした。ただし、長期優良住宅の認定では「どの計算方法で確認された耐震等級3か」はチェックされません。
いずれにせよ長期優良住宅認定通知書は「許容応力度計算による耐震等級3」の証明書としては使えないんです。
住宅性能評価書:第1関門は通れるが第2関門が通れない
では耐震等級3が明記される住宅性能評価書なら万全か? ——第2関門(許容応力度計算か?)は、住宅性能評価書でも突破できません。
サツメは実際に自宅の設計住宅性能評価書を隅々まで確認しました。等級の表示はもちろんあります。「国土交通省告示に基づき評価を行った結果」という、いかにも権威的な文言もあります。でも——性能表示計算か許容応力度計算か、計算方法の記載はどこにもありませんでした。

先に述べたとおり、住宅性能表示制度の技術的なルールブックである評価方法基準(平成13年国土交通省告示第1347号)に、耐震等級の適合を確かめる計算方法として、構造計算による精密な計算方法と壁量等の基準による簡易的な計算方法の2つが定められています。

つまり、
設計住宅性能評価書では、性能表示計算(簡易計算)でも許容応力度計算(精密計算)のどちらでもOKなのです。
誤解しないでほしいのですが、長期優良住宅制度や性能評価制度そのものは良い制度です。第1関門の突破には欠かせませんし、税制優遇などの明確なメリットもあります。
問題なのは、「これらの認定=最高の耐震性」という誤解と、その誤解を訂正しないまま安心材料として使う営業トークのほうです。それぞれの書類が証明する範囲を正確に知っておきましょう、という話です。
第2関門を突破できるのは「構造計算書」と「安全証明書」
では第2関門はどうすれば突破できるのか。表の最終行に示したとおり、物的証拠は2つあります。
- 構造計算書:許容応力度計算書そのもの。許容応力度計算をした家には、全部材の検証結果をまとめた分厚い計算書が必ず存在します
- 安全証明書:構造計算によって建築物の安全性を確かめた旨の証明書のことです。建築士法第20条第2項で定められた法定書類で、「構造計算の種類」「構造計算の方法」「使用プログラム」を明記する欄があります
つまり、性能評価書には書かれていない「どの計算方法で耐震等級3を確認したのか」が、安全証明書には書かれていますし、その根拠となるのが構造計算書です。第2関門の最終的な突破確認は、この2つの書類で行います。
ただし、ここで大事な注意点がひとつ。構造計算書も安全証明書も、「あなたの家」のものは契約して設計が進んだ後にしか存在しません。どちらも工務店選びの段階で手に取って確かめられる書類ではないんです。

では、事前の工務店選びの時点ではどうすればいいのか。
答えは、質問する、です。
- 「耐震等級の構造計算は許容応力度計算ですか?」
- 「安全証明書は交付されますか?」
この2つを質問して、必ずイエスであることを確認してください。
そして契約後・引き渡し時に、実物の書類で約束どおりかを確かめる。事前は質問、事後は書類、という二段構えです。

事後の書類確認は、自分の家の性能や価値を客観的に証明するための証拠にもなります。
いつか家を売却するとき、これがあるとないとでは家の評価に雲泥の差が出てくるかもしれませんよ。
補足|2025年4月の制度改正で何が変わったか
制度の話が続いたついでに、2025年4月の建築基準法改正にも触れておきます。というのも、この改正をめぐって多くの方が誤解されているからです。
改正のポイントは以下です。
- いわゆる「4号特例」の対象区分が廃止され、木造2階建てと木造平屋200㎡超は「新2号建築物」となり、建築確認・検査での審査省略の対象外に(構造関係規定などが審査対象になった)
- 木造平屋200㎡以下は「新3号建築物」として審査省略制度が存続
- 構造計算(許容応力度計算等)が義務になる規模は、延べ面積500㎡超から300㎡超に引き下げ
たまに「2階建ての木造住宅も構造計算が義務化された」と書いている記事があったりしますが、これは正確ではありません。一般的な木造2階建て(300㎡以下)に義務化されたのは、壁量などの仕様規定の「審査」です。許容応力度計算が義務になったわけではありません。

つまり2025年4月以降も、一般的な木造2階建てで許容応力度計算をするかどうかは、住宅会社の姿勢次第、という構図は変わっていません。
確実な耐震性能を担保するためには、ちゃんと住宅会社を見極める必要があります。
実践編|住宅会社への確認手順
お待たせしました。ここからが実践編、この記事のゴールです。「何を・いつ・どう聞くか」を整理します。住宅会社との打ち合わせの際に、スマホにメモして持っていってくださいね!
段階1:初回相談〜住宅会社の比較検討中
最初の段階で、以下の3つを聞いてください。
質問①「許容応力度計算は全棟標準ですか? オプションなら費用はいくらですか?」
標準か、オプションか、対応不可か。この一問で住宅会社の耐震に対する姿勢が分かります。もちろん対応不可の住宅会社はNG!

標準仕様がベストですが、オプション費用を払えば対応できる住宅会社ならOKでしょう。
質問②「安全証明書の写しはもらえますか?」
安全証明書は建築士法第20条第2項の法定書類で、構造計算をしていない家にはそもそも存在し得ません。

これは「相当です」「同等の強度です」といった言葉ではかわせない質問なんです。
ここで注意点を2つ。
まず、この証明書の交付先は法律上「設計の委託者」です。工務店が構造設計を外部に委託した場合、交付先は工務店になるので、施主に自動的に渡ってくる書類ではありません。だから「写しをもらえますか」まで聞くのがポイントです。
もうひとつ、構造設計一級建築士が自ら設計等を行った場合は交付不要の例外もあるため、「必ず存在する」とまでは言い切れませんが、多くの木造住宅では交付対象になると考えてよいでしょう。
質問③「地震保険の割引と住宅ローンの優遇のために住宅性能評価書を取りたいのですが、対応できますか?」
「保険の割引のため」「ローン優遇のため」など、施主としてごく自然な動機を添えて、対応力を確認しましょう。

見極めポイントは、住宅会社がこの3つに即答できるかどうか。
「相当です」「等級3と同等の強度です」など、何かしらはぐらかした返答をする住宅会社はその時点でサヨナラしましょう。
段階2:契約前
- 見積書・仕様書に「許容応力度計算」「住宅性能評価取得」の文言と費用が明記されているか確認
- 明記されていなければ、明記を依頼。「言った言わない」を防げるのは書面だけです
打ち合わせを重ねて、本契約(工事請負契約)を結ぶ前に、きちんと書面に明記してもらいましょう。

口約束だけではいけません。ちゃんと契約書や見積書に落とし込んでもらいましょう。
段階3:引き渡し時
- 構造計算書一式(+安全証明書の写し)を受領します。紙でもデータでも構いません
これらのデータは将来の増改築時の構造検討や、売却時の資産価値の証明に使えます。家の「履歴書」として必ず保管してください。

サツメんちの構造計算書一式は家の引渡し時に、重要書類をまとめたファイルと一緒に、USBに入れたデータでもらいました。データでもらった場合はクラウド等にバックアップをとっておくと安心ですよ。
サツメんちの実例|許容応力度計算の耐震等級3+長期優良住宅認定
最後に、サツメんちの実例を「2つの関門」に対応させてお見せします。
サツメんちは許容応力度計算による耐震等級3+長期優良住宅認定(SE構法)です。手元にある書類を2つの関門に対応づけると、こうなります。
| 関門 | サツメんちの書類 |
|---|---|
| 第1関門(第三者検証) | 長期優良住宅認定通知書、設計住宅性能評価書 |
| 第2関門(計算方法) | 構造計算書一式+安全証明書(許容応力度計算) |

安全証明書の「構造計算の種類」の欄を見てください。⑥の「告示1899号に定める基準に従った構造計算」にチェックが入っています。見慣れない言い方ですが、これが壁量計算ではなく許容応力度計算で確かめたという意味です(行政の実務資料でも「告示1899号の許容応力度計算」と呼ばれています)。この記事でずっと「確認しましょう」と言ってきた第2関門は、この1行で担保されています。

一般人が書類だけで「許容応力度計算」かどうかを見分けるのは正直難しいです。
だからこそ、住宅会社に「許容応力度計算による耐震等級3ですか?」という質問をするやり方が簡単で確実ですよ。
サツメ自身は、家を建てているときは許容応力度計算というものを知らなかったので、特に確認の質問はしていませんでした。サツメんちの工務店も、家づくりの途中で「うちは許容応力度計算をやってます!」といちいちアピールすることはありませんでした。その代わり、引き渡しのとき、他の重要書類と一緒に構造計算のデータが入ったUSBをすっと渡してくれたんです。

中身を開いてびっくり。上部構造計算書、基礎構造計算書、安全証明書、各種構造図面——約20ファイル、計算書本体だけで数MB級のボリュームでした。

「許容応力度計算やってます!」と声高にアピールする会社より、当たり前のようにやって、当たり前のように証拠を渡してくる会社。本当に標準でやっている会社って、こういうものなんだなと実感した瞬間でした。
実は、サツメが許容応力度計算かどうかを深く意識していなかったことと、工務店が許容応力度計算であることをアピールしなかったことには別の理由があります。それは、サツメんちの工務店の構法がSE構法だったから。
SE構法とは、「全棟が必ず許容応力度計算の耐震等級3になる」ことが仕組みとして組み込まれている構法です。
1995年の阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことをきっかけに、「地震に強く科学的に安全性を証明できる木造構法」として開発されました。この記事で解説してきた「第三者評価で、構造計算による耐震等級3」が必然的に担保される構法でもあります。SE構法について詳しくはこちらの記事で解説しているので、よろしければどうぞ。
まとめ|その耐震等級3は、許容応力度計算ですか?
最後に整理します。
- 同じ「耐震等級3」でも、計算方法は性能表示計算と許容応力度計算の2つがある(制度上の事実)
- 地震は一度では終わらない。熊本地震(震度7×2回)で、第三者検証された等級3は倒壊・大破ゼロだった(16棟と少数ながら、耐震性能の余力の価値を示す実例)
- 「耐震等級3相当」は第1関門(第三者検証)で脱落。評価書・認定書があっても第2関門(計算ルート)は分からない
- 第2関門の物的証拠は構造計算書と安全証明書。確認は3つの質問でできる
住宅会社との打ち合わせで使う質問を、もう一度置いておきます。
確認質問:「その耐震等級3は、許容応力度計算ですか? 安全証明書の写しと構造計算書は、もらえますか?」

この質問に、「イエス」の即答ができる住宅会社を選んでください!
家族の安全を守るためにも、「家」という巨額の資産を守るためにも、許容応力度計算の耐震等級3はマストですよ!
▼あわせて読みたい

出典・参考資料一覧
- 国土交通省住宅局「『熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会』報告書のポイント」(平成28年・PDF/2026年8月確認)
- 国土交通省「『熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会』報告書 報道発表」(2026年8月確認)
- 気象庁「大地震後の地震活動(余震等)について」(2026年8月確認)
- 国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(2026年8月確認)
- 国土交通省「日本住宅性能表示基準」(平成13年国土交通省告示第1346号・PDF/2026年8月確認)
- 国土交通省「評価方法基準」(平成13年国土交通省告示第1347号・最終改正 令和6年告示第1000号・PDF/2026年8月確認)
- 国土交通省「長期優良住宅認定制度の概要 資料2」(PDF/2026年8月確認)
- 国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」(2026年8月確認)
- 東京都住宅政策本部「新築する住宅について長期優良住宅の認定申請をする場合」(2026年8月確認)
- 香川県「安全証明書(構造計算により安全性を確かめた旨の証明書)Q&A」(2026年8月確認)
- 国土交通省「建築士法施行規則 第四号書式(安全証明書様式)」(PDF/2026年8月確認)




コメント