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サツメ

夫婦ともに出版社勤務、都内在住の共働き子育て世帯。2025年2月に都内に埼玉の地域密着工務店で東京都に注文住宅を建てました。

高気密・高断熱・高耐震で太陽光発電と蓄電池も備えた約34坪の2階建て4LDKで、工務店に支払った総費用は3707万円。建てて半年後の売却査定評価額は4926~4742万円。

買い手目線で、注文住宅を建てる際に知っておくべき情報を発信していきます。

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高気密高断熱の家は光熱費が安くなる? 12ヶ月分の実測値公開!【年8.7万円安くなった】

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  • 高気密高断熱の戸建ては光熱費が安いって聞くけど、本当?
  • 実際どれくらい安くなるの?
  • 安くなる理由は?

住み替えや新築を検討していると、必ずぶつかる疑問だと思います。高気密高断熱を売りにしている住宅会社は必ずアピールしてきますね。私も検討中はずっと気になっていました。

最初に正直に言っておくと、光熱費は建物の立地・広さ・世帯人数・設備や家電・生活時間帯など、とてもたくさんの要素が関わります。条件を完全に揃えた「高気密高断熱の戸建てvsそれ以外の戸建てやマンション」の比較は、そもそも誰にもできません。

しかし、高気密高断熱の家を作ろうとしている人の状況としては、おおむね以下3パターンのいずれかが当てはまるのではないでしょうか。

  • 賃貸物件(高断熱高気密な建物の可能性はほぼない)から高気密高断熱の戸建てへ
  • 高気密高断熱ではない戸建てから高気密高断熱の戸建てへ
  • マンションから高気密高断熱の戸建てへ

そしてほとんどの場合、家が広くなる(延床面積が大きくなる)はずです。普通に考えれば、家が広くなれば光熱費は上がりそうなものです。それが高気密高断熱の戸建ての場合はどう変わるのか?

サツメの場合は、築39年・82㎡・4LDKの中古マンションから、112㎡の高気密高断熱戸建てに引越しました。

そこでこの記事では、高気密高断熱の家に住み替えると光熱費がどれくらい変わるのか、サツメの実際の旧居と新居の光熱費の実数をお見せしながら紹介していきます。

住んで一年目の結果として、光熱費は年間87,447円下がりました。(約47%減)

サツメの事例だけでなく国や東京都の公的データも複数並べて紹介するので、ぜひみなさんの資金計画や家計プランの参考にしてみてください。


中古マンション → 高気密高断熱の戸建てで光熱費は約47%下がった

まず結論の数字は以下です。

旧居
(中古マンション)
新居
(高断熱高気密戸建て)
年間光熱費187,549円100,102円−87,447円(約47%減)
月平均15,629円8,342円−7,287円
年間光熱費の比較(電気+ガス)

サツメは築39年・82㎡の中古マンションから112㎡の高気密高断熱戸建てに住み替えたので、家の広さは37%増えました。一方で、中古マンションでは年間約18.8万円かかっていた光熱費(電気代+ガス代)が、112㎡の高断熱戸建てでは年間約10万円に大幅ダウンしました

ただし先に断っておくと、これは「機密性能と断熱性能だけの効果」ではありません。 太陽光発電の搭載、給湯や乾燥の設備変更など、住み替えに伴う変化すべてを合算した「住み替え全体の差」です。

あくまでサツメんちの一実例として見てくださいね。

それではその中身を、これから順番に分解していきます。


そもそも光熱費は「条件を揃えて比較できない」

本題に入る前に、光熱費についての前提を正直に書いておきます。

光熱費を左右する要素は、ざっと挙げるだけでもこれだけあります。

  • 立地(気候。北海道と東京では暖房費がまるで違う)
  • 建物種別(戸建てか集合住宅か)
  • 延床面積(広いほど冷暖房の対象空間が大きい)
  • 世帯人数(人が増えるほど給湯・調理・家電の使用が増える)
  • 設備(給湯がガスか電気か、太陽光の有無、エアコンの台数と効率)
  • ライフスタイル(在宅時間、エアコンの設定温度、入浴回数)
  • 換気方式(熱交換の有無で冷暖房ロスが変わる)

これらをすべて揃えて「高気密高断熱の戸建てvsそれ以外の戸建てやマンションを比較しました」というデータは存在しません。だから「高気密高断熱の戸建ては光熱費が安い/高い」という一般論は、厳密にはどこまでいっても検証できないんです。

新築の高気密高断熱の戸建てを検討している人の多くは、今まさに賃貸の集合住宅か、築年数の経ったマンション・戸建てに住んでいるはずです。サツメがやった「旧居の中古マンション→新居の高気密高断熱戸建て」という住み替えは、多くの読者の状況と近しいのではないでしょうか。

条件が揃った比較ではなくても、「同じ動きをした人の実測値」として、生きた参考値にしていただけると思います。

そこでこの記事では、次の2本立てで情報を提供します。

  1. サツメんちの実測:住み替えBefore/Afterの12ヶ月×2セットの実額
  2. 複数の公的データ:全国平均・東京都・建て方別の統計データ

サツメんちの実測:Before/Afterの詳細

旧居と新居のスペック

まず比較対象の旧居(中古マンション)と新居(高気密高断熱の戸建て)の条件を確認しましょう。

旧居
(中古マンション)
新居
(高気密高断熱戸建て)
床面積82㎡112㎡(+37%
建て方集合住宅
(外気接触が少ない)
戸建て
6面外気に接触していて不利
給湯ガス給湯器(ガス)エコキュート(電気)
乾燥ドラム式洗濯乾燥機(電気)乾太くん(ガス)
コンロガスガス
エアコン4台(16畳×1・6畳×3)2台(14畳×1・6畳×1)
太陽光・蓄電池なしあり(Afterの電気代に反映)

旧居の中古マンションは上下や左右の壁の向こうには他の区分があり、直接外気に接触するのは窓のある南北の2面だけでした。対して戸建ては6面全てが外気に接触しています。また床面積も+37%大きくなっていて、ここだけ見ると新居の方が条件的にはだいぶ不利です。

ここで大事なポイントがひとつあります。給湯と乾燥の設備が、電気とガスで逆方向に入れ替わっていいる点です。 旧居は「給湯ガス・乾燥電気」、新居は「給湯電気・乾燥ガス」。つまり電気代だけ、ガス代だけを取り出して比べても意味がなく、光熱費は電気代+ガス代の合計で見る必要があります。

この記事で光熱費を電気代とガス代の合計の数字で比べているのはこれが理由です。

月別の実測データ

新居12ヶ月(2025年4月〜2026年3月)の実額がこちらです。

年月電気代ガス代売電収入光熱費合計
2025/04¥4,011¥3,221¥0¥7,232
2025/05¥3,240¥3,286¥0¥6,526
2025/06¥5,254¥3,096¥0¥8,350
2025/07¥5,325¥3,400¥315¥8,725
2025/08¥5,109¥2,581¥3,630¥7,690
2025/09¥5,059¥2,701¥3,600¥7,760
2025/10¥5,688¥3,035¥2,730¥8,723
2025/11¥5,037¥3,138¥1,350¥8,175
2025/12¥4,375¥3,971¥2,010¥8,346
2026/01¥5,411¥4,272¥1,650¥9,683
2026/02¥5,790¥5,106¥915¥10,896
2026/03¥4,672¥3,324¥2,700¥7,996
合計¥58,971¥41,131¥18,900¥100,102

旧居(2023年9月〜2024年8月)は年間で電気121,224円・ガス66,325円、合計187,549円でした。

月別光熱費の推移(電気+ガス)
月別 光熱費の推移(電気+ガス合計)。同月の1年分で比較(旧居2023年9月〜2024年8月、新居2025年4月〜2026年3月)。
※旧居は使用量kWhの記録がないため金額ベースの参考値。

折れ線を見ると差が一番はっきり出ているのは8月です。旧居のピークだった8月は23,042円。新居の同じ8月は7,690円。同じ真夏で月1.5万円以上の差がつきました。新居は真冬(2月)でも1万円をわずかに超える程度で、年間を通じて月7,000〜11,000円のレンジに収まっています。

なお、新居のほうが不利な条件が3つあったことも書いておきます。

  • 床面積が37%広い(冷暖房対象の空間が大きい)
  • 戸建て=6面が外気に接する(マンションの中住戸は上下左右を他の住戸に守られている)
  • 電力単価が上昇した時期をまたいでいる

条件的には新居がだいぶ不利なのに、光熱費の結果はほぼ半減。この結果だけ見ると「高気密高断熱の家は光熱費が安くてお得」という言い方はあながち間違いではなさそうですね。


しかし! 新居の光熱費が安いのは高断熱高気密だから、だけではないのです。

おまけ:光熱費の安さの正体をもう少し掘ってみる

旧居は電気使用量とガス使用量の記録を取っていなかったので不明ですが、新居の電気使用量とガス使用量は以下のとおりです。

年月消費電力kWh発電kWh買電kWh売電kWhガス使用量㎥
2025/04377.1709.8101337.814
2025/05336.3687.362326.214
2025/06388.4719.456285.413
2025/07516.2844.259279.215
2025/08504.5783.652251.711
2025/09421.1627.055192.912
2025/10310.9413.583107.414
2025/11390.3507.455129.614
2025/12450.2487.697124.319
2026/01605.2626.213464.521
2026/02478.0516.4146105.230
2026/03360.5675.6129315.817
年間合計5,138.77,598.01,0292,520.0194

年間の消費電力は約5,139kWh、ガス使用量は194㎥でした。東京都環境局「家庭の省エネハンドブック2026」では、東京都における4人世帯の戸建ての平均年間消費電力は4,776kWh、ガス使用量は564㎥とされています。

電気使用量kWhガス使用量㎥
サツメんち実績値5,139194
東京都戸建て平均値4,776564
東京都環境局「家庭の省エネハンドブック2026」より、都内の戸建て4人世帯の数字を算出

ガスは平均の約1/3しか使っていませんが、電気は平均より7.6%多く使っていることになりますね。

東京都の4人世帯戸建ての平均よりは多く消費している電力ですが、年間消費量5,139kWhに対して電力会社から買った電気はわずか約1,029kWh。太陽光と蓄電池による電力自給率は約80%です。

また、平均より大幅にガスの使用量が少ない一番の理由は、給湯がガス湯沸かしではなく電気湯沸かしのエコキュートだから。家庭の光熱費のうちエネルギー消費量が大きいツートップは給湯と暖房です。ここを電化しているから、電気使用量は平均よりやや増えているもののガス使用量が大きく減っているわけです。

サツメんちの光熱費が安い一番の理由は「高気密高断熱だから」ではなく、光熱費のうち主要なものを電化し、その電力の大半を太陽光と蓄電池で自給しているから。ここは誤解されやすいので強調しておきます。

家庭の光熱費の内訳や太陽光と蓄電池については他の記事で解説しています。よかったら読んでみてください。


参考:平均の光熱費はいくら?|金額で見る

サツメんちの実績データはお伝えしたとおり。でも暮らし方の状況はみなさんそれぞれですよね。そこで次は公的データをもとに、「世間の平均は?」という疑問に答えます。

全国の平均:総務省「家計調査」

家計の支出統計としてもっとも信頼性が高いのが、総務省統計局の「家計調査」です(国の基幹統計)。ただしこのデータには建物種別(戸建て/マンション)の区別はなく、世帯人数別の平均になっています。

2024年の4人世帯では、光熱・水道費は月24,593円。内訳は電気12,805円・ガス5,015円・上下水道6,026円・その他光熱747円です。この記事のテーマである電気+ガスに絞ると、約17,820円/月

サツメんちの新居の月平均8,342円は、全国の4人世帯平均の半分以下ということになります(もちろんサツメんちには太陽光&蓄電池という飛び道具があります)。

ただしこのデータは建物種別がないことに加えて立地の区別もないため、東京、北海道、沖縄など気象条件が大きくことなるデータをまとめた平均値になっていることに注意しなくてはいけません。

東京都・季節別:新電力ネットの推計

「全国平均だと東京の実感と合わない」という人向けに、東京都に絞ったデータもあります。新電力ネット(一般社団法人エネルギー情報センター)が、上の家計調査を東京都かつ季節別に再集計した推計値です。つまり独立した別調査ではなく、家計調査の”東京版”という親子関係のデータとして見てください。

東京都の月平均電気代は11,757円(2025年4月〜2026年3月)。季節別に見ると4人世帯では春13,856円・夏11,195円・秋13,755円・冬14,603円と、冬がもっとも高くなります。

東京都の4人世帯の季節別の電気代グラフ
出典=新電力ネット(一般社団法人エネルギー情報センター)東京都の平均電気代。総務省「家計調査」を東京都・季節別に再集計した推計値。2025年4月〜2026年3月。

参考:戸建てとマンション、使用量はどう違う?|建物種別で見る

ここまでの平均データには「建物種別」の区別がありませんでした。ここでは、「戸建てとマンションで、そもそもどれくらい違うのか」を直接調べた公的データを2つ紹介します。

全国:環境省の実態調査

建物種別ごとのエネルギー消費を全国規模で直接調査しているのが、環境省の「家庭部門のCO2排出実態統計調査」です。令和5年度の確報値によると、1世帯あたりの年間エネルギー消費量は以下でした。

  • 戸建て:34.3GJ
  • 集合住宅:20.2GJ
  • 戸建ては集合住宅の約1.7倍
戸建てvs集合住宅の年間消費量比較グラフ
出典=環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査(確報値)」。全国の1世帯あたり年間エネルギー消費量。

これはエネルギー消費量(GJ)であって光熱費(円)ではありません。電気・ガス・灯油で単価が違うので、「消費量が1.7倍=光熱費も1.7倍」とまでは言えませんが、比較の目安にはできそうですね。

ただ、内訳を見ると面白いことが分かります。都市ガスの消費は戸建て7.3GJ・集合住宅6.8GJとほぼ同じ。大きく差がついているのは電気(17.7GJ vs 9.8GJ)と灯油(6.9GJ vs 1.4GJ)、つまり冷暖房系だと推測できます。

光熱費において戸建てが不利になる主な要素が冷暖房系だとすると、高気密高断熱はその不利な要素である冷暖房系に対して効果を発揮します。そう考えると、光熱費において高気密高断熱の効果が大きく出る可能性がある、ということは言えそうですね。

実際にいくら安くなるかはケースバイケースでしょうが、「高気密高断熱の家は光熱費が安くなる」ということは概ね正しそうです。

東京都:省エネハンドブックの実測

環境省のデータは立地を考慮しない全国平均なので、「寒冷地以外ではほぼ使わないの灯油の費用が影響しすぎているのでは?」という疑問もわいてきます。

そこについては、東京都の独立実測データである東京都環境局「家庭の省エネハンドブック2026」が参考になりそうです。ただしこのデータは奇数月のみの平均値しかないので、電気使用量とガス使用量の絶対値ではなく戸建てvs集合住宅の「比率」として見ていきます。

東京都で4人以上世帯の月平均使用量は以下でした。

  • 戸建て:電気 約398kWh/ガス 約47m³
  • 集合住宅:電気 約298kWh/ガス 約39m³
  • 戸建ては電気1.34倍・ガス1.21倍
東京都における戸建てvs集合住宅の電気とガスの使用量比較図
出典=東京都環境局「家庭の省エネハンドブック2026」(家庭のエネルギー消費動向実態調査、令和6年データ)。4人以上世帯、奇数月(1・3・5・7・9・11月)調査の平均値のため年間平均ではない参考値。

温暖な東京でも、戸建ては集合住宅より確実に多くのエネルギーを使うことは間違いなさそうです。


まとめ:建物種別的には戸建ては不利、それでも高気密高断熱なら光熱費は下がる可能性が高い

最後にもう一度整理します。

完全な条件を揃えた比較は、誰にもできません。 そのうえで——

  • サツメんちの実測:中古マンション→高断熱戸建てで年間光熱費は187,549円→100,102円、約47%減(高気密高断熱だけが理由ではなく、住み替え全体の効果)
  • 公的データ:戸建ては本来、集合住宅よりエネルギーを使う。全国では約1.7倍(環境省)、東京都でも電気1.34倍(東京都環境局)

この2つを並べると、逆説が浮かび上がります。

本来なら光熱費が上がるはず」の戸建てへの住み替えで、しかも家の広さを37%増やして、それでも光熱費はほぼ半減した。

高気密高断熱と太陽光・蓄電池の組み合わせが、戸建ての建物構造的ハンデを押し返してお釣りが来た——サツメんちの1年目の実績値からは、そう解釈するのが素直だと思います。

でも高気密高断熱の真価は、光熱費が安くなることよりもその快適性です!

家の中にいて、暑さ寒さの感じ方が旧居とは段違い。夏は涼しく冬暖かく、それで光熱費も安い。

高気密高断熱、超オススメです!

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